G600 MMO Gaming Mouse
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問い合わせ先:ロジクール カスタマーリレーションセンター 電話:050-3786-2085(平日9:00?19:00)
実勢価格:7300?8000円程度(※2012年7月20日現在) 3つめのメインボタンを持つ,いわゆる3ボタンマウスを見かけることは,今やほとんどなくなった。筆者個人は,2000年に購入したLogitechの「Wingman Gaming Mouse」がかなりお気に入りだったのだが,若い読者だと,3ボタンマウスなんてものは見たことがないという人も多いのではなかろうか。
そんな“メインボタンが3つあるマウス”が,PCゲーマー向けとして復活した。しかも,ただメインボタンが3つあるだけではない。サイドボタンを12個搭載した外観がRazer製マウス「」(以下,Naga)そっくりだとして発売前から話題を集めているという,いわくつきの製品としてだ。
その名は「G600 MMO Gaming Mouse」(国内製品名:ロジクール G600 MMO ゲーミングマウス,型番:G600,以下 G600)。Logitechのゲーマー向け製品ブランド「G-Series」は,新世代製品で常に何か新しい要素を採用してくるが,今回の多ボタンという新要素はゲーマーにとって意義深いものなのかどうか。Logitechの日本法人であるロジクールから2012年7月20日に発売となったこのタイミングで,G600のテスト結果をお伝えしたい。
Nagaより大きく,見た目より重いG600持ち方は「かぶせ持ち」がベスト
G600の実測サイズは75(W)×118(D)×41(H)mmで,ロジクールによる公称値と変わらず。3ボタンめのメインボタンを持つこともあって丸っこく感じられ,いきおい小さそうに思えるのだが,Nagaシリーズの初代モデルのサイズは同69 (W) × 116 (D) × 41 (H) mmなので,比較してみるとG600のほうが少しだけ大きかったりする。
G600と初代Nagaを並べてみたところ。G600の手前側(=マウス後方側)は斜めにカットされたようなデザインとなっているので,ぱっと見の印象は短いのだが,実際にはNagaより2mm長い
ゲーマー向けマウスのなかで見ると,G600のサイズはやや大きめということになるが,見逃せないのは,決して大きすぎるわけではないのに,ケーブル込みの総重量が166.5gと横綱級であること(※方法は後述するが,ケーブルを本体から外したときの実測重量でも129.5gあった)。おそらくLogitechは「軽いマウスよりも,重いマウスのほうが安定して操作しやすい」と考えているのだろう。
MMORPG向けマウスということで,操作するプレイヤー側の運動量がFPSやRTS,MOBAと比べて圧倒的に少ないため,手や腕への負担はあまり考慮されていないということなのだと思われるが,慣れるまでは,位置を正そうとマウスを持ち上げるたび,その重量に驚かされることとなった。
こちらはの比較用リファレンス「G5 Laser Mouse」(型番:G-5T)と並べたところ。奥行きは短くなっている一方,横幅はかなり広くなっているのも分かる
本体後方から向かって右側面下部に鱗のような模様の滑り止めが用意されている 左側面は下側もマット加工されており,12個のボタンを囲む光沢パネル部をさらに囲むようなデザインになっている。全体的に面積は小さいので,指紋が目立つような心配はまず不要だ でもお伝えしているとおり,G600には海外だと白モデルもあるのだが,国内展開されるのは(少なくとも当面の間)黒モデルのみ。3ボタンめも含めてメインボタンと一体化した上面カバーはマット加工され,サラサラとした手触りになっている。
本体右側面はほとんどが上面カバーなのだが,わずかに残った“側板”部に,小指が添えられることを想定した,鱗のような表面加工がなされているのは面白いところ。指でなぞっただけだとけっこう滑る印象を受けるのだが,実際に握ってみると,持ち上げたときに滑り落ちることはなかったので,この鱗模様はうまく機能しているということなのだろう。
12個のボタンが並ぶ左側面は「マット加工されたボタンを,光沢部が囲み,それをマット加工された本体カバーがさらに囲む」というイメージの,一風変わったデザインになっている。
左右メインボタンとはまったく異なる形状になっている3つめのメインボタン 形状面で注目しておきたいのが3つめのメインボタンで,このボタンは薬指を置くことが想定されているため,大きくくり抜かれ,凹んだ形状となっている。「楕円状のスプーンでえぐられたような」とも形容できそうだが,実のところ,このボタンによって,G600というマウスの持ち方にはかなりの制限が生じているのだ。
今回も,定番の「つまみ持ち」「かぶせ持ち」と,つまみ持ちをアレンジした筆者独自の「BRZRK持ち」とで握った例と感想を下にまとめたので,参考にしてほしい。
つまみ持ちとの相性は正直,微妙だ。マウスをつまむときに親指の接地面が指先だけになりやすく,左サイドの12ボタンを“誤爆”する可能性があるからである。また,薬指を第3のメインボタン上へ置く都合上,親指と小指でマウスを支えることになるのだが,そうなると,マウス本体の重量がかなりあるため,手に負荷がかかりやすくなる かぶせ持ちの場合,親指をべったりと左サイドボタン部に接触させることになるため,マウス本体と接触する部分の負荷分散を行える。また,右側面にある滑り止め加工部分にも小指をぺったりと接触させられるため,手の中で滑ってしまったりしにくい。指を立てたりせずとも自然と手にフィットするので,端的に述べて操作しやすい印象だ BRZRK持ちはとにかく合わない。薬指と小指の接地面が狭く,挟み込むように持つのが難しいため,最も負荷がかかる持ち方となった。しばらく試してみたものの,筆者は手が痛くなってしまって諦めたほどだ
上記のとおり,ほぼかぶせ持ち“一択”といった印象である。かぶせ持ちだと,親指や小指とG600の触れる部分が大きく,薬指と3つめのメインボタンが生む摩擦も最大化されるため,グリップ力が落ちにくいからだ。
左サイドの12ボタンにどうしても目は行きがちだが,実のところ,握りやすさにおいてかなりの部分を左右するのは本体右側の作りだ
つまみ持ちだと,指を立てるように握ることとなるため,本体の重量と相まって,手にかかる負荷が増す。持って持てないことはないのだが,MMOゲームで長時間プレイするというG600の立ち位置からすると「向いていない」ということになると思われる。
なお,マウスケーブルは布巻タイプ。実測のケーブル長は約1.93mで,USBコネクタ部分とG600本体を合わた全長が2mとなる。ケーブルの太さは実測約3mmと,布巻タイプとして標準的ではあるものの,ケーブル自体は馴染ませやすかった。
計20ボタン仕様となるG600サイド12ボタンのデザインにはこだわりが
ここまでボタン中心の説明をしてきたが,あらためて確認しておくと,ボタン構成は左右メインボタンと,その右に用意された3つめのメインボタン,センタークリック機能およびチルト機能付きスクロールホイール,ホイール手前×2,左サイド×12の,計20個。12個のサイドボタン[G9]?[G20]はまとめて「Thumb panel」(サムパネル)とも呼ばれている。
いつもはメインボタンからだが,今回は多くの人が最も気になるであろう左サイドボタンから見ていきたい。左サイドボタンは,Nagaと同じく縦3×横4という配列で,最も奥側の一番下が[G9]で,上に[G10][G11]と並んで“改行”されるような並びになっている。手前側一番上が[G20]だ。つまり,並び自体はNagaと同じということになるが,実のところ,大きく異なるのはボタンの形状である。
こちらは初代Nagaの左サイドボタン部。[2][5][8][11]を中心に膨らんだようなデザインとなっている。突起が奥から2列めと4列めのボタン計6個にある点や,ボタン自体は平板な点がポイント そしてこちらがG600の左サイドボタン部。上の写真と比べると,抉れた印象が強い 先ほど写真でも示したとおり,Nagaシリーズの場合,初代や,ワイヤレス接続に対応した「Razer Naga Epic」,初代Nagaの改良版となる「Razer Naga 2012」に共通して,左サイドが丸みを帯びたデザインになっている。そしてサイドボタンはこの丸みに沿って配されているのに対し,G600では,[G9]?[G14]の6ボタンと[G15]?[G20]がそれぞれ,6ボタンの中央部が最も低くなるすり鉢状になるよう,角度が付けられているのだ。
[G13]と[G16]の2ボタンにはホームポジションを知らせるための突起が用意されているので,「これを使って2つの“すり鉢グループ”を使い分けましょう」ということなのだろう。6ボタンの特殊な形状と合わせて,確かに指を置く位置は定めやすくなり,いきおいボタン配置を覚えやすくなるので,これはアリと述べていいのではなかろうか。
Nagaでもサイドボタンの突起は用意され,また,丸や四角のシールを貼ることでボタン配置を分かりやすくすることもできたが,G600の「“誤爆”防止策」は,後発製品だけあって,かなりスマートになっていると述べてよさそうである。
すり鉢状配置が分かりやすく見えるよう撮影してみたカット。左サイドボタンは場所によって傾きも大きさも異なるのが見て取れると思う。長辺は最短で実測約7.5mm,最長で同10mmとなっており,実際に親指をThumb panel部に置いてみると,ボタンは意外と大きく感じられた。[G13][G16]部の突起もけっこう大きい
メインボタンとスクトールホイール,スクロールホイール手前側ボタンのクローズアップ。スクロールホイールの手前に2つ並んだボタンはやや硬めだが,これは誤操作を防ぐための処置と思われる 次に左右のメインボタンと,スクロールホイール手前に用意された[G7][G8]ボタンだが,これらのスイッチは,ゲームをプレイするうえで支障のない硬さだが,少し押し返しが弱い印象も受ける。クリック感も鈍く,あまりカチカチ感はない。
スクロールホイールの形状はこれまで「G-Series」で発表されてきたどのマウスとも異なるものだ。表面はラバー素材で,2mmごとに1mmの溝が彫られているという,非常にベーシックなデザインになっている。
ホイールのラバーは中心が盛り上がった形状になっており,最も高いところではマウスのカバー部より約3mmも高くなる。そのため,指とホイールとの接触面が「盛り上がった頂点付近」に限られてしまうのは少々気になった。ただ,ホイール自体の動作は軽く,あまり負荷をかけずとも回転するようになっているので,DQ10 RMT,高さに慣れてしまえば操作自体はしやすい。
一方,センタークリックはかなり硬め。チルトの利用時に“誤爆”しないための配慮だと思われるが,一般的なマウス製品と比べると,かなり意識しながら押し込まなければならない印象だ。チルトはセンタークリックよりも軽いが,上で述べたとおりホイールが盛り上がった構造になっているため,横に倒すというより,斜め下に押し込むような感覚での操作が必要になる。
統合ソフトウェア「Logicool Gaming Software」は見た目がいいものの使い勝手に難あり
G600はWindowsのクラスドライバで動作する,いわゆるドライバレス仕様だ。標準だと左サイドの[G9]?[G17]ボタンにはキーボードの[1]?[9]キー,[G18][G19][G20]ボタンには[0][?][+]キーが割り当てられているが,ロジクール製の統合ソフトウェア「Logicool Gaming Software」(ロジクールゲームソフトウェア,以下LGS)をインストールすると,これらサイドボタンのキー割り当てをカスタマイズ可能になり,また,DPIやレポートレート設定変更,プロファイルの管理と,それに応じたLEDイルミネーションの変更などが行えるようになる。
LGSはインストールするとシステムに常駐する。そのユーザーインタフェースはすっきりしており,G-Series向けのSetPointと比べてもイマドキの見た目になっていて好ましいのだが,こと使い勝手という話になると,正直,首をかしげざるを得ないのだ。
まず,LGSのメインメニューでは「G600オンボードメモリ」と「自動ゲーム検出」という2つの動作設定から,どちらかを選ぶようになっている。これは簡単にいうと,G600のオンボードフラッシュメモリに設定を保存するか,PC側に設定を保存するかを選択するものである。
LGSのホーム画面。ロジクールによると,LGSは今後,G-Seriesをはじめとするゲーマー向け周辺機器用のソフトウェアツールとしてSetPointに代わって全面的に採用されるという
「設定」メニューではLGSの基本設定を行えるが,「基本設定」のなかにはLEDのオン/オフ設定や,「アングルスナップ」(直線補正)のオン/オフ設定も含まれる。このあたりもちょっと分かりにくい 問題はここから。G600では,「モード」と「プロファイル」という2つの概念がある。モードはDPI設定とレポートレート設定,LEDイルミネーション設定を,プロファイルはボタンへの機能割り当て設定をそれぞれ管理しており,1プロファイルあたり3モードを持てるようになっている。
LGS自体はご覧のとおり日本語化されているのだが,ツールチップ,ヘルプとも,このあたりの説明はほとんどなされていないに等しい。正直,このLGSに慣れるのはなかなかの苦行といえる。
で,「G600オンボードメモリ」と「自動ゲーム検出」の決定的な違いは何かだが,ざっくり説明すると,下記のとおりとなる。
ざっくりまとめるなら,「G600オンボードメモリ」のほうは,普段よくプレイしているMMOゲームなどで,アンチチートツールとのバッティングを避けつつ,左サイドボタンへ機能を割り当てたいとき向け。「自動ゲーム検出」のほうは,アンチチートツールとバッティングする心配がないタイトルや,日常使い用に左サイドボタンの機能をカスタマイズしたいとき向けということになる。
……それだけに,慣れるまでは何をどうすればいいのか全然見えないというLGSの使い勝手が,とにかく残念である。
レーザーセンサーはAvago製基板のシルク印刷にライバル意識が見て取れる
ここで,G600のスペックを以下のとおり確認しておきたい。レーザーセンサーのトラッキング速度は最大160IPS(≒4.06m/s),最大加速度は30Gなので,筆者のレビューで最近取りあげたマウスだと,「」(以下,Diablo III Mouse)と比較的近い印象を受ける。
●G600 MMO Gaming Mouseの主なスペック
ここで,マウスを可能な限り分解して,センサーやスイッチ類をチェックしてみよう。G600の場合,マウス底面部に張られている大きなマウスソール2枚を取り外し,4本のネジを外すと,内部構造へアクセス可能だ。
メイン基板に刻まれた「Antivenom」のシルク印刷。「Antivenom Main」と書いてあることからするに,G600の開発コードネーム自体がAntivenomなのかもしれない と,ここで,面白いことに気づいた。
メイン基板に「Antivenom」(アンチヴェノム)というシルク印刷があるのだ。「venom」というのは毒を持つ生物の毒液を指すが,「マウス」で「対毒液」といえば,ヘビの名を冠するRazerへの対抗としか読みようがない。ロジクールは,G600の開発にあたってNagaを意識していることを認めていたが,ここまではっきりと挑戦的なのは最近だとかなり珍しい。プロレス的展開で非常に面白いと思うのだがどうだろうか。
そのほかのポイントは以下,写真とキャプションで紹介したい。
メイン基板の話が出たので続けると,搭載されるセンサーには「S9808」という刻印がある。Avago Technologies(以下,Avago)の企業ロゴに使われている,特徴ある「A」の字も見えるので,Avago製のセンサーと見てよさそうだ。基板底面のレンズユニットがセンサーから取り外せないのはDiablo III Mouseと同じだった メインボタンのスイッチは3つともオムロン製(左)。型番は「D2FC-F-7N(20M)」となっていた(中央),aion RMT。センタークリックとチルト,[G7][G8]ボタンでスイッチの種類は共通だということがスクロールホイールを取り外すとよく分かるが,これら5ボタン用スイッチの型番は読み取れなかった マウスを覆っていたカバー部の内部構造(左)。錘の存在が目を引く。ネジを取り外すと,カバー内にもう1つのカバーが出てきた(中央)。さらに錘は外してみたら1枚実測13gのものが2枚で(右),全体的に「そりゃ重いわけだ」といった案配である サイドボタン用基板部を内部カバーから取り出したもの(左)。実のところ,これを取り出すのが今回の最難関で,フレームをへし折る寸前までいってしまったほどだ。基板には「Antivenom Side Board」といういうシルク印刷があるのは要注目といえる。右はネジを外して取り外した基板だ サイドボタンと側板部(左)に,それをバラしたところ(中央)。ボタン部とスイッチの間にはゴム板が埋め込まれており(右),その先に透明なプラ板と水色のシリコンがあって,ユーザーがボタンを押すと,ゴム板に押される形でシリコンが基板上の抵抗と接触し,反応する構造になっている
※注意
マウスの分解はメーカー保証外の行為です。分解した時点でメーカー保証は受けられなくなりますので,本稿の記載内容を試してみる場合には,あくまで読者自身の責任で行ってください。分解によって何か問題が発生したとしても,メーカー各社や販売代理店,販売店はもちろん,筆者,編集部も一切の責任を負いません。また,今回の分解結果は筆者が入手した個体についてのものであり,「すべての個体で共通であり,今後も変更はない」と保証するものではありません。
「S9808」はAvagoの製品リストにないが,おそらく,「ADNS-9800」をベースとした,Logitech向けのカスタムモデルだろう。ADNS-9800だとトラッキング速度が最大150IPSとなるところが160IPSだったりするのは,そういったカスタマイズの結果だと思われる。
直線補正を行うアングルスナップ機能の有効時(上段)と無効時(下段)で直線補正の程度を確認したところ。ご覧のとおり,オフにしても直線補正は若干効いているような感触で,正直なところ,あまり大きな違いはない印象だ
マウスパッド全15製品との相性テストを実施クセらしいクセはほとんどない
ADNS-9800そのものではないとはいえ,ADNS-9800の派生モデルを搭載すると見られるだけに,センサー性能はある程度期待できるが,実際のところはどうか。恒例のマウスパッド相性チェックを行ってみよう。
テスト環境とテスト時のマウス設定は下記のとおりとなる。
●テスト環境
●テスト時のマウス設定
マウスソールは独自形状で大型。いわゆるテフロン加工済みのものが2枚貼られている テストは湿度の高い梅雨時期に行っているため,布系のマウスパッドは湿度の影響を受けている可能性がある。その点はご了承のほどを。
リフトオブディスタンスは公式の仕様が明らかになっていないので,今回は「厚さ1mmの1円玉を何枚重ねた状態で反応が停止するか」を検証し,その結果をコメントの最後に【 】書きで行うことにしている。参考値としてチェックしてもらえれば幸いだ。
●ARTISAN 隼XSOFT(布系)
快適な滑りで,操作しやすかった。【2枚】
●ARTISAN 疾風SOFT(布系)
ARTISAN 隼XSOFTより少し抵抗感はあるものの,滑りは良好で操作しやすい。【2枚】
●ARTISAN 飛燕MID(布系)
ザラザラとした抵抗こそ感じられるが,操作性は問題なし。【2枚】
●DHARMAPOINT DRTCPW35CS(布系)
摩擦による抵抗を少し感じるが,操作には問題なし。【2枚】
●DHARMAPOINT DRTCPW35RS(布系)
ザラついた抵抗感はあるのだが,かなり滑る。操作性も良好。【2枚】
●Razer Goliathus Control Edition(布系)
ザラザラと擦れる感触がある。操作性には問題なし。【2枚】
●Razer Goliathus Speed Edition(布系)
かなり滑りがよく,快適に操作できた。【2枚】
●Razer Ironclad(金属系)
少し抵抗感があるが,操作自体は快適に行える。【2枚】
●Razer Scarab(プラスチック系)
ザラザラとした抵抗感あり。ただし,操作性そのものは良好だ。【2枚】
●Razer Sphex(プラスチック系)
少し抵抗はあるが,操作性に問題なし。【2枚】
●Razer Vespula(プラスチック系,両面)
両面ともに抵抗感はあるものの,操作は快適に行えた。【2枚】
●SteelSeries 9HD(プラスチック系)
少し抵抗があるが,操作自体は良好。【2枚】
●SteelSeries QcK(布系)
布との摩擦を感じる。ただ,操作に問題が生じるほどでもない。【2枚】
●ZOWIE G-TF Speed Version(布系)
滑りがよく,操作性も問題なし。【2枚】
●ZOWIE Swift(プラスチック系)
プラスチック表面との間に強い摩擦力を感じる。ただ,操作性には問題なかった。【2枚】
リフトオブディスタンスは2mm未満に収まり,筆者の環境ではネガティブアクセルを感じることもなかった。ADNS-9800ベースのカスタムモデルに不安はないと述べてよさそうだ。
Nagaの弱点を1つ1つ潰してきた「Nagaキラー」万人向けではないが,多ボタンを使いこなしたいならアリ
冒頭でもお伝えしたとおり,筆者はWingman Gaming Mouseを過去に愛用していた。当時は多ボタンマウスがほとんどなく,武器のショートカットはキーボードに設定するのが当たり前だっただけに,薬指にもキーバインドを行うことで,移動時の隙を軽減しつつ,使用頻度の高い武器を選択できるのが重宝していたのである。だが,結論からいうと左サイドボタン12個でこと足りてしまった。せっかくなので[DPI Shift]を割り当て,ボタンを押している間だけDPI値を変更するスナイパーボタン的にしてみたのだが,もう何年も薬指でボタンを押すことがなかったためか,薬指だけやたらと疲れる結果になった次第だ。12個のサイドボタンを持つG600にとって,3つめのメインボタンはある意味で蛇足だったかもしれない G600のテストにあたっては,主に「」(以下,PSO2)と「」を用いた。G600のメインターゲットとなるオンラインRPGだけでなく,FPSでもテストしてみたというわけである。
さて,PSO2で筆者はレンジャーのクラスを愛用し,TPS視点で操作を行っているのだが,この状態だと,左手はキャラクターの移動で手一杯になりやすく,メインキーボード最上段の数字キーに割り振られた回復アイテムやスキルのショートカットキーを押す余裕はあまりない。
その点G600であれば,標準で左サイドボタンにずらっと数字キーが割り当てられているので,LGSからカスタマイズすることなく,マウス側でこれらショートカットを利用できる。これはメリットだ。12個あるサイドボタンのおかげで死なずに窮地を脱することができたりもしたので,十分な意味があるとまとめられるだろう。
今回筆者はG600のテストにおいて,初代Naga,そしてNaga 2012も比較対象として使っているのだが,「左サイドで自分の指がどこにあるのか」の把握しやすさは,圧倒的にG600のほうが上だ。突起のある[G13][G16]ボタンの中央付近に親指の腹が来るようホームポジションを調整すると,あとは2つあるすり鉢に向かって指を動かしていけば,傾斜によって押し分けやすいという案配。これは本当によくできている。
一方のQUAKE LIVEでも,数字キーの[8][9]にまで武器が割り振られているため,とくにボタンのカスタマイズはせずともG600のサイドボタンはそのまま利用できた。移動を[W/A/S/D]キーや[E/S/D/F]キーで行う場合,ゲームのテンポが速いQUAKE LIVEだと,ホームポジションから遠いショートカットキーを押すのはかなり難しいが,G600の左サイドボタンを使えば,その難しさに一定の対処が行えるようになる。これもメリットと述べてよさそうだ。
ただし,マウス自体が非常に重いため,ガシガシとマウスと動かし続けていると,すぐに腕が疲労でパンパンになりやすい。やはり,FPSなど,アクション性の極めて高いタイトルは避けて,製品名どおり,MMOなどのオンラインRPGで使っていくべきマウスということなのだと思われる。
製品ボックス。なかなか渋い 実勢価格は7300?8000円程度(※2012年7月20日現在)で,やや高めという印象は拭えないものの,Nagaにあった「サイドボタンを押し分けにくい」という大きな問題にメスが入ったことで,G600は単なる二番煎じに堕することなく,Nagaシリーズキラーとしての立ち位置を確保できていると思う。Antivenomの名に恥じない存在とは言えそうだ。
重量,そして3つめのメインボタンの存在が生む持ち方の限定,使いにくい統合ソフトウェアというハードルはあるので,万人向けとはいえない。だが,MMOゲームで使うから,むしろマウスは重量的に安定してくれていたほうがいいとか,かぶせ持ちを普段から好んでいるといった人にとっては,試してみる価値のある多ボタンマウスになっていると述べていいだろう。
よくも悪くも,G-Seriesらしくない製品である。
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