2013年4月7日日曜日

連載「キャラゲー考現学」第34回:「暁のアマネカと蒼い巨神」_2

。また,ゲームを進めるにつれて別のゴーレムを入手したりレンタルしたりも可能となって探索の柔軟性が増すものの,基本的に同様の問題を抱えることになる。  ゴーレムの運用に見合った収益をどう上げるかが課題ではあるが,そもそもゴーレムが必要なくらいがっちり守られた遺跡には,お宝ががっぽり眠っているので,それほど心配する必要はない。  遺跡内で複数チームをまとめて操作できない,マップ上で一度指示した行動をキャンセルできないといった,やや洗練されていない操作性(例えばマップ上で「他チームを待つ」というコマンドが用意されていたら,ドラゴンクエスト10 RMT,より快適に操作できると思う)が気になる本作だが,それらの制約も含めてパズルとして楽しめる側面は十分にある。とくに敵対組織との競争要素は,概して相手方有利のハンディキャップマッチとなるため,適度な焦燥感が演出され,ときに慌ただしい操作を求められるのは,これはこれで面白い。  章立てごとの勝利条件が明かされず,プレイがストーリー要素でぶつ切りになって,rmt,あまり最適化ゲームの体を成していないあたりは評価が難しいものの,一方でキャラクターの織り成すドラマが魅力でもあるのだから,ここは大きく構えて,こまめなセーブを心がけつつ,キャラ同士の掛け合いを楽しむのが正しい姿勢だろう。  ちょっぴり深いところから論評してみると,「トリスティア」「ネオスフィア」における“発明”というモチーフは,高度成長期以降(もっと言えば明治以降)日本が発揮してきた,近代工業による国際競争力が,コスト的側面から全般に失われつつある段階を,なおも独自の製品開発で乗りきろうとする「物づくり」信仰を背景に持つ動きだった。  それと同様に「アマネカ」を捉えるなら,準拠すべき枠組みは“立身出世”であろう。ソフト化,ポストモダン化がより進展した社会で,若者が青雲の志を抱くことは,ますます難しくなっている。そうした世相を背景としつつ,強烈な個性とリーダーシップ,野望と正義感に燃えて成り上がろうとするアマネカの姿はおそらく,同じように時代の“喪失感”を埋め,新たな夢を掻き立てるメッセージ性を持っているのだ。  まあそんな,的を射ているか分からない分析はともかく。本作はパズル的試行錯誤を含むストーリーゲームとして,ほどよくまとまっている。かなりデフォルメの利いた絵柄でのキャラクター描写も含むアニメ的演出が好きな人なら,小ネタのちりばめられたセリフ回しも含めて,大いに楽しめるだろう
関連トピック記事:

0 件のコメント:

コメントを投稿